論文におけるストーリーラインの重要性:院生によるまとめ



以下は「学術文章の書き方とその指導法」(広島大学のすべての研究科の大学院生に開かれた授業)を聴講したある教英院生による文章です。「赤ずきん」の例が面白く、皆さんにも(小)論文執筆の際の情報選択の重要性が直観的にわかっていただけるかと思い、ここに掲載します。




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  今回の講義では、読み手を想定した文章を書く際に、物語として自分の主張(主題)を読み手にわかりやすく伝える手順について学んだ。読み手が「分かりやすい」文章とは、ストーリーラインが一本につながるよう、情報が過不足なく選択、配列された文章である。本稿では、そのストーリーラインの重要性について、記述する。
 
 極端な例かもしれないが、「赤ずきん」の物語の途中に、狼の生態についての記述が突然出てきたとしよう。その狼の情報は、事実かもしれないし、ひょっとしたら生物学的に価値がある情報かもしれない。しかし、物語全体を通して読むと、狼の生態の話は必要のない情報である。それどころか、その話があることによって、物語全体のストーリーラインがぼけてしまい、読み手は困惑してしまうだろう。

 私自身、文章を書く際に同じようなことをしてしまっていると反省した。私は今まで文章を書く際には、調べたことや思いついた考え、使いたい表現を全て書き出し、それらをできるだけ多く文章の中に盛り込むことができるようなテーマを設定し、ストーリーラインを立てていた。書いているうちについつい文章に愛着が湧いてしまい、情報を削るという行為を怠ってきたように思う。

  しかし、そのように建てられたストーリーは首尾一貫しているとは言えない。文章において一番重要なのは、テーマ(主張)であり、書き手はそれが十分に伝わるよう情報を取捨選択、配列する必要がある。書き手はどの文章項目がどのような役割をしているか、明確に説明できなければならない。
 
 では、一貫したストーリーラインを作るために、どのような手順を踏む必要があるだろうか。自分なりにまとめたものを以下記述する。
(1) テーマを設定する
 まずは何よりも大事なことだが、自分が文章を通して伝えたい、ストーリーラインの核になるようなテーマを、一文または一語で設定する。
(2) 書き出す
 設定したテーマに関連する情報を、できるだけ多くブレインストーミングし、書き出す。(この段階では情報選択はしなくても良い。)
(3) カテゴライズ
 書き出した情報にキーワードをつけ、関連性がある情報同士を、視覚的にカテゴリー分けする。
(4) カテゴリー内の情報を整理する
 それぞれのカテゴリー内の構造が明確になるよう、情報を整理する。その際に、必要が無い情報は勇気を持って捨てる。
(5) アウトラインの作成
 カテゴリー間の構造を明確にし、テーマに沿う形で配列する。
(6) 文章化
 アウトラインを作成したら、それに従い、一度物語全体を声に出して語ってみる。問題なければ、文章化する。
 
私の場合特に、情報の取捨選択を怠っているように感じる。脈絡の無い情報に溢れた文章は、「お勉強ノート」と化してしまう。以上の手順を踏むことによって、「お勉強ノート」は「物語」へと姿を変えることができるのでは無いだろうか。



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