2016/12/29

クラーク博士のことばについて(教英OBの方からの情報提供)


先日の「翻訳あそび」の記事について、ある教英OBの方(峯野光善先生)から情報提供をいただきましたので、その方の了解を得た上で掲載します。

峯野先生は、ネット上に投稿するときには責任の所在を明確にするために匿名やハンドルネームではなく、実名で投稿すべきとお考えだそうですので匿名化しませんでした。


OB・OGの方々の期待に応えることができる、いや期待を超えた活躍ができる教英でありたいと思っています。

今後ともOB・OGの方々あるいは、教英に期待する一般の方々からの叱咤激励をお待ちしております。






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広大教英ブログをいつも楽しく、また、為になるなあと思いながら読んでいます。

ところで、12月15日配信の『自主勉強会「翻訳あそび」』の以下の記述について3点ほど気になるところがあったためにメールを差し上げる次第です。


「今回の課題はクラーク博士の有名な一節です。皆さんでしたらどう翻訳しますか?この一節は、クラーク博士が北海道を離れる際に、学生たちに駅のホームで述べたことばだそうです。」



1点目。クラーク博士が有名な言葉を発した場面。

「クラーク博士が北海道を離れたのは、1877年4月。その日、学生たちは札幌から24キロメートル離れた島松駅逓所まで博士を見送りに行きました。まだ、北海道に鉄道が敷設されていなかった時代、各所に駅逓所と呼ばれる人・馬のための駅があったのです。いよいよ別れの時――。博士は教え子たちと一人ひとりと固い握手をかわし、別れを告げます。そして馬上から、時代を切り開こうとする若者たちに「大志を抱け!」と言葉を投げ、励ましたのです。」


2点目。異なるテキストが存在すること。

"Boys, be ambitious!
       
Be ambitious not for money, not for selfish aggrandizement,
not for that evanescent thing which men call fame.
Be ambitious for knowledge, for righteousness,
and for the uplift of your people.
    Be ambitious for the attainment of all that a man ought to be."

1点目及び2点目は、近江誠(2005)『挑戦する英語!』(文藝春秋社)の12ページ及び13ページからの引用です。言葉を発した場面や、2点目の第3段落の部分を考慮に入れるとまた違った「翻訳」になるのではないでしょうか?


そして、3点目。

クラーク博士が札幌を去る時、本当に “Boys, be ambitious” で始まる言葉を言ったのかという疑問です。この点についてはおそらく、北海道大学附属図書館の「 “Boys, be ambitious!” について」が決定版であろうと思われます。結論を言えば、“Boys, be ambitious!”と言ったかもしれないが、それ以降の言葉は、後年になって様々な人が付け加えたものであるということになります。


以上、何かご参考になれば幸いです。

広大教英のますますの発展と教育の充実を願っています。



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