2023/02/06

教英D1生新美徳康さんの論文が国際雑の『Language Testing in Asia』に掲載されました!

少し前になりますが、教英D1生の新美徳康さんの論文が国際雑の『Language Testing in Asia』に採択されました。とてもうれしく思います。この度、新美さんに今回の論文掲載までのプロセスなどを振り返ってもらいました。他の学生さんも次に続いてほしいと思います。本当におめでとうございました!

 

 

 

この度、言語教育評価を主に扱う国際学術誌Language Testing in AsiaAssessing Japanese junior high school students’ English achievement through computer-based testing in the classroom: A case of integrated reading-into-writing continuous task.というタイトルの筆頭論文が掲載されました。この論文は、私たちが開発したコンピュータを活用したテスト(CBT)を日本の公立中学3年生に実施し、探索的な分析の結果、CBTが指導に直接つながる評価となる可能性を示唆した事例を詳細に報告したものです。本研究の着想から、計画、調査、学会発表、論文執筆、投稿、修正、論文掲載に至るまで約2年の道のりでしたが、一連のプロセスを11つやり遂げることができ大変嬉しく思います。今回は国際誌に投稿する経緯から論文掲載までの体験を少し振り返ってみたいと思います。

 実のところ、当初は、国際誌に投稿しようとは考えてもみませんでした。しかし、日本の全国規模の学会誌の査読で落ちるという経験と指導教員の先生の助言が国際誌に挑戦するきっかけとなりました。次に投稿する学術誌を検討するにあたり、自分自身の研究内容や用いている手法が、国内誌ではあまり相性がよくなかった可能性があることや、言語教育評価やテクノロジーの活用をscopeとして設定している学術誌に投稿した方が通る確率が高まることなどを指導教員の先生と議論しました。一方で、私は、国際誌は国内誌よりも敷居が高いというイメージを勝手に持っていました。Reviewerからの厳しいコメントで査読が通ることも難しいし、Editorの判断で査読に回ることさえも難しいということを聞いたことがあったためです。最終的には、指導教員の先生の後押しもあり、思い切って国際学術誌Language Testing in Asiaに投稿することを決断しました。

 前回査読で落ちたときにいただいたコメントをもとに修正を施したり、投稿する国際誌のAim & Scopeに合致するように論文構成を大幅に変えたりして、再び原稿を整えていきました。また、国際誌への投稿には、Editorに自身の研究の成果や意義を伝えるカバーレターを書く必要があるため、その作成にも時間を費やしました。国際誌は、国内学会誌とは手続きが全く異なり、いつでも自分のタイミングで投稿することができます。そのため、投稿する日時を自身で決め、忙しさを理由に先延ばしにならないように気をつけていました。その学術誌に合わせた書き方が思っていたよりも難しく、当初の予定よりも少し遅くなりましたが、無事論文投稿システムから原稿とカバーレターをEditor in chief宛てに送ることができました。

投稿後は、論文投稿システムでpeer-reviewedのプロセスを確認することもできました。例えば、Editorの判断で、論文が査読に回ると、Current statusSubmitted to journalからUnder reviewへと更新されました。Editorが論文を査読に回すまでの期間や、その後査読の結果が出るまでの期間の目安はその国際誌の情報欄に記載されています。私の場合は、投稿してから査読結果が届くまで約2カ月かかりました。

査読結果は幸運にもminor revisionで返ってきました。reviewer1人は好意的なコメントが多く、対応しづらい修正はほとんどありませんでした。一方で、もう1人のreviewerは大幅な修正が必要な箇所についてコメントを多く残していただきました。特に不明瞭な記述箇所や論拠が不十分な箇所については徹底的に指摘されました。すべてのコメントにそれぞれ適切に答え、さらに対応するそれぞれの修正箇所を論文中に色文字で示さなければなりませんでした。修正コメントをいかに論文に反映させるかは悩みました。さらにそれをすべて英語でやり取りしなければならなかったのも、日本語でさえ査読コメントに対する修正を行った経験のない私にとって困難なものでした。1カ月以内に再度修正したものを提出しなければならないということでかなりタイトなスケジュールでした。このように、修正にはかなり苦労しましたが、アクセプトの可能性が残されているという希望があったので、それを糧になんとか修正原稿を投稿することができました。

“I am pleased to inform you that your manuscript has been accepted for publication in Language Testing in Asia.”というアクセプトの通知が届いたのは修正原稿の投稿から約2週間後でした。その後、出版社側から1度だけ校正の機会をいただけました。その国際誌を扱う出版社用の論文フォーマットで自身の書いた原稿が表示され、論文投稿システム上で校正を行いました。この校正作業は数日間で終えなければなりませんでしたが、無事校正作業を終え、その後2週間後に出版されたという連絡が届きました。自分の論文が晴れて掲載されたことを、論文執筆でお世話になった方々に報告し、ともに喜んでいただけたときは本当にここまで続けてきてよかったと感じられました。

ここまで、投稿先を決めてから掲載に至るまで、私が経験したことをお伝えしました。あきらめずにここまでやれたのは、自分自身の研究成果を目に留めてくれるであろう世界中の英語の先生や英語教育の研究者の方、これまで自身の研究に携わっていただいた方、日々見守ってくださっている方に、なんとしても行き届けたいという強い気持ちを持ち続けることができたからだと思います。国際誌への投稿にチャレンジすることはハードルが高く感じるかもしれませんが、トライしてみることで、自身の論文の質の高まりが感じられ、これまでには見ることのできなかった景色を見ることができます。この体験記が国際誌への投稿を考えている皆さんの少しでも参考になれば幸いです。今後も慢心することなく、引き続き、児童生徒のための、教師のための英語教育研究に尽力します。

 

 

 

 

 

教英では、33日に松浦伸和先生の最終講義を計画しています。参加申し込みは不要です。どなたも大歓迎です。また、当日受付等もございません。多数の方のご参加をお待ちしております。詳細は以下のリンク先をご参照ください。

 

http://hirodaikyoei.blogspot.com/2023/01/33.html

http://dele.hiroshima-u.ac.jp/1289


 


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