2016/08/10

前期の昼読を終えて(学部4年生M君の感想)


2016年度前期も昼休みの自主的読書会(「昼読」)を行いましたが、そこでとりわけ熱心に参加してくれた学部4年生のM君に前期の昼読を終えての感想をまとめてもらいました。

ちなみにこのM君はこの昼読でフランス語でハリー・ポッターの第一巻を読み通しましたが、その第二外国語学習についてはまた後日まとめを書いてもらうとして、本日は昼読全般についての彼のまとめを掲載します。





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昨年の冬ごろからこの昼読みに参加させていただくようになり、もう半年以上レギュラー(?)メンバーとして皆さんと本を読む機会をいただいています。お昼休みに教室に集まり、各自で持ち寄った本を読み(ときにはお昼ご飯をつまみながら)、その後全員で意見交換の場を持つ。このかなり自由なスタイルと柳瀬先生のご熱心な運営により、教英の学生だけでなく、教育学部の他のコースの方、他学部の学生さん、さらには職員の方、留学生の方など多くの方々に参加いただいており、ある意味「グローバル」な読書会となっています(笑)。

最初は割と少人数での出発でしたが、柳瀬先生のブログ記事や口コミ等でこの読書会を知り、立ち寄ってくれる方が増えてきました。参加者が多様であれば読む本もまた多様ということで、皆さん様々な本を持ち寄っていて、自分が今まであまり縁の無かった分野の本などにも興味がわく機会になっています。小説を読む人もいれば、歴史の本を読む人がいたり、英語の本を読んでいる人がいると思えば、ドイツ語やロシア語で書かれた本を読む人もいたりします。先輩や後輩、先生がどのような本を読んでいるかを知ることは良い刺激になっています。僕自身、本職である英語教育関係から少し離れ、自分の興味の赴くままに本を選んで読んでいます。

やはり自分の興味の赴くままに手に取る本というのは、「読もう」と無理に思わなくても読めてしまう、そんな本だと思います。読みたい本を読む時間を取れるということは非常に幸せなことで、いつも学生のうちに読みたい本を片っ端から読んでおきたいと思っています。もちろん、一人で読む時間も重要なのですが、この昼読のように読んでいる本について誰かと話すことは、その本で広げられた視野をさらに何倍にも広げてくれます。「僕はこう考えましたが、皆さんどうでしょう?」「私は~思う…」といったやりとりが多く、いわば自分の読書に皆さんを巻きこんで、「みんなで読む」という読書の形が出来上がっています。

本を読む若者が減っている現在、本をじっくり読んで自分で熟考するという活動は一見地味なようですが、自分という人間を作っている下地だったり、考え方だったりといったものを養ってくれるものだと思います。この貴重な機会を大切にして、これからも皆さんと一緒に昼読を盛り上げていきたいと思います。ご興味のある方はぜひお昼休み、お気に入りの本を片手に気軽にお立ち寄りください。

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たとえTOEICなどで高得点が取れても、自主的・自発的に読書をする習慣のない人がいれば、私はちょっと怖いとすら思ってしまいます。自ら選択すること、長い時間をかけて丁寧に考えることができない人は、無批判的に他人(特に権力者や声高な人)の道具になりかねないからです。
それぞれに考え、お互いが自分の考えをことばを通じて表明し語り合うことを通じて民主主義社会は成立すると思います。

しばしば「人文系の教養は役に立たない」とも言われます。それは人文系の教養をもった人間が「権力者が思い通りに使える人材にならない」という意味では正しいかもしれませんが、人文系の教養が民主主義的な社会の根幹にあるという意味では、とんでもない言いがかりです。互いの心を理解しようとする人文系の教養こそが成熟した社会の力です。

これからも「昼読」を始めとした読書啓発運動をねばり強く続けたいと思っています。




「昼読」の本格的再開は後期が始まる10月からですが、夏休み中も平日の12時から13時の間はA212教室で細々と続けています(管理人が出張や休暇で不在の場合はお許しください)。



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