この広島大学英語教育学会と、翌日に開催された広島大学英語文化教育学会は --ややこしいですね、ごめんなさい-- それぞれの総会での決議を受けて、今後統合に向けての具体的な手続きが始まります。こういった会でないと出せない機能を創りだしてゆきたいと思います。
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三浦省五学会長のご挨拶を皮切りに、総会と3件の研究発表及び特別講演、そして懇親会が行われました。研究発表はライティングに関するものが2件、小学校英語に関するものが一件でした。講演としては数多くのご著書を執筆されている伊藤治己先生の「フィンランドにおける英語教員養成システム」についてでした。
まず最初のライティングに関する研究発表は学習院高等科の久岡敏郎先生によるものでした。久岡先生はオーストラリアで博士号を取得された教英の先輩です。発表は博士論文に基づくものでした。まず背景知識となるハリデーのSystemic Functional Linguistic (SFL)についてご説明なさり、上位学習者と中級学習者ではライティングに構造的な差があることを立証されていました。何を基準に上位学習者と判断するのかということを明確に示されており、とても説得力のある発表でした。
次のライティングに関する研究発表は広島県立井口高等学校の久山慎也先生によるものでした。英検の文章を基に要約文を書くという活動について発表されていました。ライティング指導では生徒がどこで躓くかということを理解できないまま指導してしまいがちです。躓きを理解することの重要性を認識である発表でありました。
最後の研究発表は広島大学大学院教育学研究科の兼重昇先生でした。小学校英語が必修化さらに開始時期の低年齢化が議論されている中、現行の小学校外国語活動の導入が如何に行われてきたかを紐解いてくださりました。今後ますます小学校英語の議論が盛んになる時に、過去に何があったのかを整理しておくことは重要であると気づかせてもらえる発表でした。
小休憩の後に関西外国語大学の伊東治己先生による特別講演が行われました。「フィンランドにおける英語教員養成システム」と題され、フィンランドにおいて如何に英語教員となることが難しい道のりであるか、また日本はフィンランドから何を学べるのかという講演をしていただきました。
まず日本との大きな違いは、フィンランドでは教育学部に入る倍率がとても高いということです。また入学後は修士課程までの5年生のコースであり、アクションリサーチを中心に、専門的な知識(英文学・英語学)は文学部の授業を履修するというお話がありました。そして最後にフィンランドから学ぶとして、専門性をもった教員養成の必要性を説かれていました。とても刺激的な内容でした。
教英の絆を大切に育てていこうという三浦省五会長の閉会式でのお言葉の後、ラ・ボエーム特別室(広島大学学士会館1F)にて懇親会が行われました。三浦省五会長の音頭のもと、皆で廣大大学歌を歌ったり、しりとりの順で院生が一人一人挨拶をさせていただいたりしつつ、おいしく食事をいただきました。改めて教英の絆を確認しあう会となりました。
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