2018/10/03

「最強の読書会」が再開されます(月曜昼休み:学生プラザ一階)


管理人の都合で中止になった以前の「昼読」を引き継ぐような形で、スタートした総合科学部一年生の廣瀬詠太郎君による「最強の読書会」が、第三タームは月曜の昼休みに開催されることになりました。場所は前回と同じで学生プラザの一階です。





さきほど読んでいた本に、このような言葉がありました。

The new world of communication is blessing for the citizens of the world trained to think critically and knowledgeable about history.
But what about citizens who have been seduced by the world of life as entertainment and commerce?

Antonio Damasio 
"

私は旧世代に属しており読書をする文化を学ぶことができましたので、自分の時間がSNSに侵食され、私の意識世界が、他愛もない世間話と広告に満たされてしまうことに我慢がなりません。ですから、ある程度のSNS断ちをして読書に時間を費やすことができます。

しかし新しい世代の多くの人は、無自覚なままにSNSに誘導され、読書を始めとした知的習慣から遠のいているような気がします。卒業や受験のための最小限の読書を他律的に行うだけで、読書の喜びを知らないまま、ますますSNSにふけっているように思えます。

激変する世界状況を考えれば、知的習慣からの逃避は将来の自分を弱体化することに他ならないでしょうか。それによって本来もっていたはずの可能性を失うのは自分自身だけでなく、自分の家族、そして(教員の場合なら)自分の児童・生徒・学生です。

ここは一つ、意図的な習慣を作り、読書を楽しむ文化を学ぶ自己訓練を行うべきではないでしょうか。

若い世代の皆さんの参加を心からお待ちしています。

いや、古い世代の私が偉そうに言うことではありません。廣瀬君を始めとしたこの読書会のメンバーのように知的に目覚めて自律的に行動しようとする若い世代は確実にいます。

共に学びましょう!



2018/09/28

修士論文中間発表会を開催しました


昨日(9/27)、英語教育学講座の修士論文中間発表会を開催しました。13:00-17:40の長丁場となりましたが、二回の休憩をはさみ、最後まで活発な質疑応答が行われました。




研究には量的方法、質的方法、混合的方法、批判的考察などさまざまなアプローチがありますが、


(1) 意義ある問題を見出す(あるいは看過されてきた問題の意義を見出す)
(2) その問題に対応するための適切な方法論を見出す(あるいは開発する)
(3) その方法論から得られたデータを公正に解釈する


という点ではどの研究も同じではないでしょうか。

そしてこういった研究を行う能力は、程度の差こそあれ、ますます高度化し複合化する知識基盤社会において活躍する際にも必要なものであると考えられます(さもなければ、どうして世界中で高学歴化が進行しているのでしょう)。

みなさんもぜひ大学院に進学して、自らの知的能力を高めませんか?


2018/08/29

英国エディンバラ大学での4ヶ月語学留学プログラムを振り返って


広大教英では1991年より英国エディンバラ大学での語学留学プログラムを実行していますが、この度、そのプログラムから帰ってきたばかりのM君(学部2年生)に留学を振り返った文章を寄稿してもらいました。(M君、お疲れのところをありがとうございました)。
信頼できる環境で確実に英語と異文化交流を学びたい方はぜひこのプログラムをご活用ください。

広大教英HP:留学制度


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(お気に入りのPortbello Beachから見た夕日)


今年度4月から7月までの約4ヶ月間、英国スコットランドの首都エディンバラに留学してきました。エディンバラで学びたい理由はとても明確で、「自分を試したい」という強い思いでした。以下の文章は主に3つの観点から貴重な海外経験を振り返り、学んだこと・気づいたことを整理したものです。拙い文章ではありますが、これを読んでくださった方が少しでも海外留学に興味を持っていただけたら幸いですし、挑戦するきっかけとなることを願っています。


1. 英語力

 正直なところ留学に行く前は、「自分の力はどの程度(レベル)なのか」について何度も考え直し、4ヶ月後の自分を思い描けず不安を感じていました。目標は予め決めていたものの、具体的な手段を思い浮かばないまま日本を発ちました。

 自分なりに分析しますと、確実に聞く(listening)と書く(writing)分野において顕著な進歩が見られたと感じています。まず聞く力に関してですが、徹底してPodcastというアプリケーションを用いてBBCのラジオなどで英語を聞くことを習慣づけました。行き帰りのバスの中や入浴時、合間時間を有効に無駄なく使うことを心がけました。さらに聞き流すだけでなくディクテーション等の方法で英語を再生するなどの工夫を凝らしました。結果として、ミュージカルのセリフや飛行機内アナウンスの英語の内容の理解速度が上がるなどの成果を見出すことができました。

 次に書く力について、私は継続的な日記(journal)とEAP(English for Academic Purposes)という授業を通して自分のライティングを見直すことができ、その違いに驚きました。現地の先生から生活の中で感じたこと・学んだこと・気づいたことを日記に残すよう指導され、見返す度当時の自分を振り返ることができました。さらに語彙や表現の、論理性を意識した構成など、授業で習ったことを(家庭)学習で実践する一連の流れに留意しました。(もちろんこれまでも行なっていましたが)内容のつながりに配慮することで読者を意識したまとまりのある文章を英語で書くことがさほど苦にならなくなりました。


2. 学びの環境

 留学の醍醐味と言えばやはり“生きている”英語を学べる点ではないでしょうか。少し強い表現をしましたが、私は英語が実際に使われている状況を把握できる場面が豊富にあるということを意図しています。スーパーやレストラン、バスなどの交通機関はもちろん街中身の回りのあらゆるものから英語を学べる、そんな恵まれた場所での英語学習は価値あるものでした。またネイティブの人々が何気なく使用するイディオムやインフォーマルな表現なども全て含み、私が尊敬するフランス語の先生のお言葉を拝借しますと、教科書の中で「飼育」されているだけの英語と「放し飼い」の英語との差異を実感することができました。


3. 思いやりに溢れる現地の人々

 留学を通して達成したい最大の目標は、「現地の人々との個人的なつながりを作る」ということでした。前年度同じ留学プログラムに参加した先輩から頂いた、自分で“行動を起こす”ことが重要だというアドバイスを心に留めました。自分から積極的に授業の先生やhostと会話を設けることで距離を縮めることに成功しました。また、hostのお姉さんの家族にも会うことができ、小さな子に英語で読み聞かせする、ビーチで遊ぶなど、貴重な時間を共有することができました。

 異なる価値観や文化的背景を備えるネイティブと英語で様々なトピックに関して議論するのは容易なことではありませんが、互いに理解し合えた時の達成感・充実感は筆舌に尽くしがたいものです。さらに私が英語学習者であることを知りながら、ネイティブは「手加減をしないでくれた」こと、随所で感じた「分からなくて悔しい」、「伝わらなくて悔しい」という気持ちがさらなるモチベーションに繋がっていたと実感しています。何よりも、私が出会った人は全員優しさに満ちており、この出会いは生涯をかけて自分の中に生き続けると確信しています。

 留学に来ることがすごい!とか、海外で学んだからすごい!とか、私はそういう風には全く思いません。ですが、自分の五感を通し、誠心誠意向き合い努力して得たこの経験はどんなものにも変えることはできないし、今の自分と留学前の自分は明らかに違うと私は知っています。だからこそ、日本でも様々なことにこの4ヶ月間の財産を活かしたいし、いつの日かエディンバラに再び戻りたいです。

 私に携わっていただいた、素晴らしい関係を築くことができた全ての方々に感謝を申し上げ、振り返りを終わりたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

2018/08/03

広大教英生の教員志望者の87%が、卒業後すぐに教員正採用!(2018年データ)


今年は8/21(火)と22(水)に、広島大学の魅力を受験生に知らせるオープンキャンパスが開催されます。


広島大学オープンキャンパス2018

広島大学オープンキャンパス2018デジタルパンフレット


「広大教英」のプログラムは教育学部K108講義室で、両日ともに2回に分けて行われます(12:00-13:20と13:40-15:00)。

教育学部プログラム

教育学部周辺地図(広島大学作成)

教育学部 (Google Maps)


今年担当する教員は、樫葉みつ子先生(両日)と松浦伸和先生(8/22のみ)です。教英の学生さん(学部生・院生)も二日間で6名参加し、広大教英のよさを学生さんの声でお伝えします。

管理人はその準備資料を作っていたのですが、改めて今年の3月に卒業した学部生の資料をまとめてみると、広大教英生の教員志望者の87% (15名中13名)が、卒業後すぐに正採用の教員として働いていることが確認できました。




2010-2018年のデータを見ましても、平均で66%の割合で卒業後すぐに正採用教員として働いていますが、その中でも今年卒業した教英生は一番の「一発合格」率を示しました。
これはどこに出しても恥ずかしくない数字だと思っています。



もちろんこういった数字だけが大切なのではなく、もっと大切なのは卒業後の教英生がそれぞれの場所で幸せな人生を送ることです。

広大教英としては、こういった数字を気にしながらも、大学教育の本質を大切にした教育活動をしようと思っています。

広大教英にご興味のある高校生・浪人生はぜひオープンキャンパスにお越しください。

広島大学は文字通り「広大」ですので、初めて来る方はどうぞ上の地図で場所をご確認ください。


ただ、残念ながら現在、まだJR山陽本線はまだ完全復旧していません。広島大学へのアクセスの最新情報は、以下のページなどでご確認ください。


広島大学への交通アクセス










2018/07/25

胡子美由紀先生が『中学英語 生徒がどんどん話せるようになる!即興スピーキング活動』を学陽書房から出版されました



広大教英の卒業生の中でももっとも輝いている教師の一人である胡子美由紀先生が、この度3冊目の単著となる著書『中学英語 生徒がどんどん話せるようになる!即興スピーキング活動』を学陽書房から出版されました。




学陽書房ホームページ
『中学英語 生徒がどんどん話せるようになる!即興スピーキング活動』
(「立ち読み」ページと資料ダウンロードページあり)
http://www.gakuyo.co.jp/book/b370547.html



この本は「生徒が即興で英語を話せるようになる工夫」や「英語で話したいという気持ちを引き出すコツ」をまとめたものです。

第一章では信頼関係、タイムマネジメント、指示の出し方など授業の前提となることをまとめます。第二章では心理的距離を縮める机配置、ウォームアップの仕方、授業の目標の確認などスピーキング指導のみならず学級経営や集団づくりにも役立つコツを紹介しています。第三章は、Chants, Bingo, Skit, Chatなど9つのスピーキング活動の行い方をとても具体的に示してくれています。第四章ではさらなる発展編としてStudent teacher, Topic speech, Discussion, One minute monologueなどの技能を統合し子どもの底力を伸ばすための9つの言語活動のやり方をこれまた丁寧に示してくれています。

胡子先生の著書のいい所は、ご自身のさまざまな経験に裏付けられた具体的な活動を非常にわかりやすい形で示すだけでなく、それらの活動の根本となっている原理・原則を明確に言語化しているところです。この本も一読し常時参照しているうちに、英語教師の発想と行動の幅が広がり奥行が深まる好著です。

胡子先生のように探究的に英語教育実践を積み重ね、生徒にしっかりした英語力をつけることによって生徒が自らの人生に向かい合うことを勇気づけている教師こそ日本の宝だと私は思っています(およそ教育こそ国の基本を作るものだと私は思っています)。
英語教育を豊かにするリソースの一冊としてお薦めです。


この記事を掲載する前に、上の文章について胡子先生に連絡をとった際に、胡子先生に、短いメッセージをお願いしたら、お忙しい中にもかかわらずご快諾いただきました。
以下が胡子先生から皆さんへのメッセージです。

どんな子どもたちも、英語を自在に使いこなし、他者と豊かにコミュニケーションをとりたいと思っています。英語という言葉を通じ、どの教科よりも夢を与え、学びの楽しさを伝えることができる。それが英語教師の醍醐味だと思っています。本書が、現場の先生方や英語教師を目指す学生の皆さんの「元気」のもとになり、子どもたちを笑顔にするお役に立つことができれば幸いです。
胡子美由紀


「どんな子どもたちも」ということばが深いと思います。かく言う私も、しばしばこのことばを忘れそうになってしまいます。公教育に携わる者として自戒せねばと思います。




2018/07/24

中尾佳行先生が渓水社より『 チョーサーの言語と認知』をご出版されました


この度、福山大学教授・広島大学名誉教授の中尾佳行先生が、渓水社より『 チョーサーの言語と認知 「トパス卿の話」の言語とスキーマの多次元的構造』を出版なさいました。




渓水社ホームページ
『 チョーサーの言語と認知 「トパス卿の話」の言語とスキーマの多次元的構造』
http://www.keisui.co.jp/cgi/isbn.php?isbn=ISBN978-4-86327-439-6


広島大学をご退職されても変わらず学問の道を歩み続ける中尾先生の姿に、私たち後輩は大いに刺激を受けています。

そんな中尾先生に、この広大教英ブログに短い文章を書いていただけませんかとお願いすると、快く引き受けてくださいました。原稿は実は7月13日にいただいていたのですが、管理人がバタバタしており、掲載が本日にまで遅れてしまいました。遅れをお詫び申し上げます。

ともあれ、中尾先生からのメッセージです。私たちも勉強を続けましょう!




 
*****

 2016年3月に定年退職しました中尾佳行です。在職中皆様には大変お世話になりました。有難うございました。

 この度の豪雨で三原市も東広島市同様に多大な被害を受けましたが、私の家は少し高台にあり、大丈夫でした。妹夫婦宅も大丈夫でしたが、断水の関係で、時間をかけて我が家に水を汲みにきては、洗濯、風呂と大変な状況です。

 さて、この度『チョーサーの言語と認知』(渓水社、2018)を上梓しました。認知言語学のスキーマ形成理論を援用して、チョーサーの言語の意味の構造化を試みました。本書では2016年7月ロンドン大学、The New Chaucer Societyでの発表を発展させました。「前書き」の一部を紹介します。「チョーサーのテクストを読んでいて、テクストの意味はあるのではなく生まれてくるものだと、感じてきた。辞書で検索し、文法で固定し、文脈を考慮し、一つの意味に絞ったとしても、次の日に読み直してみると、意味が微妙にずれていく。実際にそれはcruxの一つとなって研究者間で物議を醸すこともある。チョーサーの言語の遊び心とも言うべきか、言語のゆとりないし柔軟性に魅力を感じてきた。この問題意識はチョーサーの言語の意味を構造化してみたいという思いに発展していった。」

 今、カナダ、トロントでのThe New Chaucer Societyに参加しています。チョーサーの認知の動きと「語り」の問題(Narratology)に関心を持っています。簡単に言えば、自由間接話法を含むチョーサーの話法の弾性(plasticity)を認知的に、また語り論的に深めてみたいと思っています。

  写真は、トロント大学Victoria Collegeのキャンパス内、カナダの文芸批評家Northrop Frye (1912-1991)の銅像の横で、友人のフランスの学者Jonathan Fruoco氏と一緒に写ったものです。Jonathanは、バフチンを活用した”polyphony”の研究者です。彼と一緒に中世と現代を繋ぐポリフォニーの論文集を作成する予定です。




2018/07/20

第二回英語教育小論文コンテスト(10代・20代が考える英語テストのあり方)の最優秀賞は19歳の清水一生さんです!



第二回英語教育小論文コンテスト(「10代・20代が考える英語テストのあり方」)の最優秀賞は19歳の清水一生さんに決定しました。清水さんには賞状と賞品(図書カード1万円分)をお送りします。また、延期された広島大学英語教育学会のシンポジウムには清水さんのご都合さえつけばご招待させていただこうと思っております。

以下に審査員コメントと清水さんの作品を掲載します。作品は縦書き原稿用紙に手書きされたものを、ワープロに変換する際に一部の漢数字をアラビア数字に換えた以外は原文のままです。


審査員コメント

 清水さんは、これまで定期的に英語資格試験を受けてきましたが、年々成績は上がっているにも関わらず、自分の英語力の伸びを今一つ実感できないままであると訴えています。また、まわりの英語学習者も同様で、英語資格試験の成績向上によってプライドばかりが高くなり、かえって真の英語力向上が妨げられているのでは、と逆説的な論を展開しています。そこで清水さんは、「現在の日本における英語資格試験は全て廃止すべきである」という大胆な案を提示しつつ、代わりにグローバル社会により相応しい英語資格試験の導入を唱えています。特にスピーキング力を測るこれまでの面接試験は「あまりにも形式的」であるとし、これからの時代で求められるスピーキング力に即した面接試験の開発が喫緊の課題であると指摘しています。個人的な体験に基づきつつも、大胆で刺激的な論が展開されており、最優秀賞に値すると判断しました。




作品

我々を映し出す試験という鏡

清水一生(19歳)

英検、GTEC、TOEICにIELTSと今日では様々な英語資格試験にあふれている。身の回りでは「グローバル化」といった言葉や「英語が必要な世の中」などといった声が後を絶たない。そんな中、果たして本当にこれら資格試験は「グローバル社会」を生き抜く人材を育成しているのだろうか。

 私が初めて英検を受験したのは中学二年の頃である。当時の私は英語がこの上なく好きで、かなりの情熱を注いだのを覚えている。初めて受験した級は三級で、一次試験をパスし、二次試験の面接にも合格した。しかし、どこか満足感や達成感がなかった。面接試験があまりにも形式的で試験官とのやりとりが機械的すぎると感じたためだった。このような試験で受験者の能力を測ってよいのか、という疑問を隠せなかった。私は今冬で19歳になるが、あの当時からその疑問を抱いてきた。私が思うには、英検といった現在の資格試験を通して人々の英語の読み書きの能力は向上する可能性は大いにあるが、必ずしも英語を話す能力は上がるものではないということである。

 中学生の頃、ALT(外国語指導助手)である先生と英会話をする機会が何度もあった。しかし、彼らとの会話を楽しむことはもとより、自分の言いたいことを表現することさえ意のままにできなかった。残念なことにこの状況は高校卒業まで続き、今に至る。取得した英検のグレードは年々高くなってきているのにも関わらず。加えて、自分のようにペーパーテストのスコアは高いが、人と面と向かって会話となると、英語が途端に話せなくなり、戸惑い、ついには赤面するような人を今まで何人も見てきた。

 英語資格試験の面接においては、事前に策を練り、練習を重ね、本番では形式に従って機械的に受け答えをするだけという流れがここ数十年は繰り返されてきたように思える。反対に、英検の一次試験での「読む・書く・聞く」の能力を問う試験では、これら三要素が十分に育成されるため、受験者の力も向上する傾向にある。また、二次試験とは違って、試験制度も2016年を境に改変された。言うまでもなく、二次試験については変更されなかった。

 では、英検などの試験を通じて私達は何を測るのか。「私達が持つ総合的英語力」、「グローバル社会に対応するための英語力」。これらは無論、多くの人が答えるであろう内容である。しかし、どうだろうか。この先、社会はグローバル化するわけだが、その社会で必要となる英語力の根本を築くのは「話す力」だと私は思う。今、迫り来る社会では、仕事をするにも何かをするにも英語を話す力が求められる。まして、そんな社会で生き抜いていくにはなおさらである。このような観点から、現代の人々は英語検定試験を通じて、グローバル社会で‘本当に’必要な「話す力」が育成されず、正しく測られていない、と私は考える。

 興味深いデータがあるため、紹介したい。(注)かの有名なTOEFLテストに「話す」試験が導入されて以来、日本人の英語力がアジアで底辺という結果が出された。日本人と「話す力」の乏しさが露呈されたと言える。現代の日本では英語、英語と口うるさく言い、英語力向上のためにあらゆる計画を推し進めているにも関わらず、アジアで最底辺という現状だ。つまり、現在の英語教育制度では不十分であるということが分かる。

 私は提案する。現在の日本における英語資格試験は全て廃止すべきである、と。現在の試験制度では仮に「資格」を取得する人が多くなるとしても、彼らの多くにはプライドや「自分には資格相応の英語力がある」といった過剰な自信だけが備わってしまい、いざ社会に出ると、彼らの英語力は全く通用しない、歯が立たないものであると社会から痛烈な評価が下されることを私は危惧する。そして私もその一人となる過程を辿っているのかもしれない。このように主張しておいては何だが、解決策ないしは打開策を即座にはひらめき難いのも現実である。巷では、2020年の教育改革、大学入試制度の変革の方針も明確に示されている。人ではなく彼らを取り巻く環境を変えることも大切ではあるが、やはり教育者である英語教員にも変革を起こし、彼らに本当に必要とされる資質にも目を向けてほしいと願う。

 私は、教員を志す者の一人で、近い将来、教鞭をとり、目まぐるしく発展する社会で生きるのであろう。果たして、数年後の未来にはどんな世界が広がっているのであろうか。英語教育に大きな変革は訪れているのだろうか。はたまた、現状突破はされないでいるのか。様々な思いを巡らせながら、今日も私は歩み続ける。
(注)https://www.google.co.jp/amp/s/diamond.jp/articles/amp/96206







清水さんおめでとうございます。

清水さんのこの作品を一つの契機にして、よりよい英語教育づくりを目指してゆきたいと思います。

この英語教育小論文に直接的・間接的に関わってくださった皆様に心より御礼申し上げます。




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