2017/02/27

アメリカの交換留学の感想(ネバダ大学リノ校に行った修士課程1年生のA君の振り返り)


以下は、広大の留学プログラムを利用して、アメリカのネバダ大学リノ校に留学したA君の振り返りです。「自分のための分析になりますから」と言ってまとめてくれたA君に心から感謝します。A君、忙しい中、ありがとう。

留学を考えている皆さん、ぜひ以下をお読みください。




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 以前(8月)に,アメリカに交換留学に行くという記事を書かせていただきました,博士課程前期1年のAです。プログラムが終わり帰国したので,その振り返りを書くことで,自分自身の経験をもう一度思い起こすとともに,広島大学が提供する留学制度を通した経験を共有させていただきたいと思います。

 前回書いていなかったのですが,今回留学をした大学(ネバダ大学リノ校)に留学をするのは2回目になります。同じ大学に複数回留学することに決めた過程を,まず始めに書きます。その後,留学先での大学院生向けの授業,周辺施設や気候,実践したことや反省点をつづっていきます。



・2回目の留学

 前述したように,私にとって,留学をするのは今回が2回目でした。前回は,学部2年生の時に,同じ大学(ネバダ大学リノ校)に交換留学生として通っています。ただ,当時は正規の授業を履修できるだけの英語力がなかったため,IELC (=Intensive English Language Center)という,大学に附属の語学学校に1セメスター間(4か月間)通いました。(http://www.unr.edu/ielc

 IELCでは,語学学校ということもあり,「英語を学ぶ」ことに焦点を置いた日々を過ごしました。4か月間という滞在期間で,たくさんの友人と出会い,いろいろな国の人と英語でコミュニケーションをとるということの素晴らしさを体感することができました。その中で心残りがあったとすれば,「英語で学ぶ」経験があまりできなかったことと,英語で自分のことを話すことはできても,「論理的にかつ正確に」英語を扱うことがまだ十分ではなかったことがありました。

 大学院に進学が決まり,留学をする機会があると分かった時に,どこに留学をするかを考えました。まず,留学に際して条件の優先順位を付けましたが,私にとってはできるだけ卒業を伸ばさないことが上位にきました。そのため,1セメスターの大学間の交換留学を用いようと考えたのですが,それでも今回留学したネバダ大学リノ校以外にいくつかの選択肢がありました。

 ただ,1セメスターの留学を一度した経験上,4か月というのは思ったよりも短く,大学の制度に慣れたり,人間関係を形成したりで半分以上の時間が過ぎてしまうと感じていました。そこで前回留学したネバダ大学リノ校なら,その適応にあまり時間がかからず,充実した留学ができると考え,大学院生の交換留学生として留学をすることに決めました。もちろん,前回の留学で知り合った友人と再会したい,3年前の自分の英語力では伝えきれなかったことを話してみたい,という気持ちが強くあったことも事実です。

今年度から広島大学でターム制が導入されたことも追い風になりました。広島大学では,従来までの前期後期の2セメスター制から,今年度は第4タームに分けて授業が行われています。私がアメリカ留学から帰国したのは12月でしたが,帰国後第4タームで2つの授業を履修させていただくことができました。

参考までに…

留学の際の優先順位をつけることは,これから留学を考える人にも役に立つと思います。卒業を伸ばしたくないのでしたら,基本的には自分の所属する大学・学部が認める留学制度を用いて,留学期間が在学期間に含まれる留学をする必要があると思います。また,どのような留学制度であれ,留学の目的・期間・費用(予算)・地域・必要な語学能力等,考えていくと留学が具体的になっていきます。

ちなみに,ネバダ大学リノ校とその附属の語学学校での広大生の留学経験談は以下のURLより閲覧できます。





・授業と英語力

 ネバダ大学リノ校では,大学院の交換留学生として,TESOL (=Teaching English to Speakers of Other Languages) Certification Programの授業を履修させていただきました。履修した授業は,Language Acquisition, Methodology of Elementary English Language Learners, Second Language Assessmentの3つでした。いずれの授業にも,英語母語話者ではないの学生は数人いたものの,交換留学生は自分だけで,ほとんどが英語母語話者でした。英語で授業を受けるための準備をして臨んだつもりでしたが,英語母語話者との英語力の差を痛感する毎日でした。

 感覚的な表現で書くと,私の英語力を基準とすると,英語母語話者は「二段階上」の英語力を持っているように感じました。二段階というのは,英語をすぐに理解し自分の経験と結び付けるというインプットの段階と,その自分の経験と授業の流れを適切につかみ発言するというアウトプットの段階の2つをイメージしています。どちらも私の母語である日本語では,あまり意識せずにできる内容のように感じます。具体例を授業内の事例から書いていきます。

 授業では予習として,指定されたリーディングをこなし,そこから自分が考えたことを授業用のオンライン掲示板に書くことが求められました。私は時間をかけながらも(おそらくほかの学生の2倍の時間はかかったと思います)何とか読み終えて,そこから考えたことを自分の経験に結び付けながら書きました。ほかの学生の投稿は時間が足りず全てを読むことはできませんでした。授業の前に席についていると,授業前にある学生が私の投稿した内容についてコメントをくれました。私にとってはリーディング課題をして自分の投稿を書き終えることで大仕事なのに,ほかの学生の投稿まで「興味があるから」や「ちょっと時間があったから」という理由で読んで臨むことができることに英語力の差を感じました。

 授業中のディスカッションでも,英語の力の差を感じる場面がありました。ディスカッションでは,ある学生が発言した内容の,細かい内容について指摘し,その観点を深く掘り下げていく場面が時折見られました。私は,何を指摘したかすら理解できないことがあり,そのような状況では議論に参加できなくなりました。議論の大きな流れを従いながら,ある学生のコメントの細部を掘り下げていくところにも,英語力の差を感じました。






・周辺施設・気候

 留学の大きな魅力は,自分の普段暮らしている場所とは違う場所で過ごすことができることにもあると思います。その一例が周辺の施設になると思いますが,ネバダにはカジノが身近にあるという点で日本と大きく違いました。ネバダ大学リノ校からは歩いて15分くらいのところにカジノ街がありました。ネバダ大学リノ校の学生の40%しかギャンブルに行っていない(60%がギャンブルに行っている)というくらい,カジノが生活に密着をしているようでした。私はほとんどギャンブルをすることはありませんでしたが,カジノには安いレストランやお土産物屋があったり,週末にはイベントが行われたりと,カジノに行く機会は多々ありました。派手な建造物が徒歩圏内にあるというのはとても面白く,散歩でカジノ街の周辺をぶらつくこともありました。

 砂漠地帯ということもあり,気候は乾燥していて,4か月の滞在期間で数えるほどしか雨は降らず,傘は全く使いませんでした。また,夏でもリップクリームを使わないと唇が割れてしまうなど,乾燥した気候を体感することができました。ただ,夜には気温が下がり,蒸し暑いこともないので,個人的には日本の気候よりも好きでした。





・実践したこと・反省していること

 留学先では,一念発起して毎日英語でワードに日記を書いてみました。もとから英語で書くことはどちらかというと好きでしたが,「毎日書く」ということはいい勉強になったと感じています。自分の一日を振り返るための日記なのでたいしたことは書いていませんが,だんだんワードのページ数や文字数が増えていくのに喜びを感じました。結果,120日ほどの滞在で,学部時代の卒業論文よりも長い,120ページ,約45,000語の長さのものを英語で書いたことになりました。また,貴重な留学の一日一日を後から振り返ることのできるものを残すことができたという点でも,私にとっての財産になったと感じています。

 少し反省・後悔している点は,スペイン語を学ばなかったことです。アメリカに滞在している間,メキシコからの移住した家族の家にホームステイさせてもらいました。その家族の中では日常生活でスペイン語を用いていて,私もぜひ学びたいなと感じていましたが,日々の生活に追われて結局手つかずで終わってしまいました。少し話はそれますが,アメリカにはたくさんの移民がいました。現在,アメリカではトランプ氏が新大統領になったことで,移民についての議論の活発になっています。このような情勢の中でメキシカンアメリカンの家族と一緒に過ごせたことは,貴重な経験になったと思います。



写真の補足ですが、これはクリスマスの時期に行われる,Santa Crawlというイベントの写真です。
リノのカジノ街での最も大きなイベントで,サンタの格好をしてバーに行くとお酒が安く購入できます。



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