今回(6回目)のお題は二つです。
(1)ひとつ目はキャプテン・アメリカの翻訳です。
次のような疑問が出ました。「キャプテン・アメリカは誰に向かって言ってるんだろう?想定された少年?鏡に映っている自分自身に向かって?」
翻訳者K
世間が何と言おうと構わない。
周囲がクロをシロとしても関係ない。
この国じゃ,やるべきことは1つだけ。
それは,余計なことは考えず,自分の気持ちに従って行動することさ。
みんなが,「お前は間違っている」と言ってきたら,胸張ってこう言い返すんだ。
「いや,お前らが間違っているんだよ。」
翻訳者M
マスコミや政治家が何と言おうが関係ない。
奴らの牛耳るこの国が黒を白と言ったって関係ない。
それがどうであれ,己の正義に従え。
私たちはそう誓ったはずだ。
奴らに何を言われようが,信じたものは手離すな。
言われたなら「黙ってろ」と言ってやれ。
翻訳者T
新聞が君に何を教えてくれる?
政治家が,群衆が,君に何をしてくれるというのだ。
この国が今,岐路に立っていようなどと,君は考える必要もない。
このアメリカは,奴らの遠く及ばない崇高な信念によってつくられた。
がむしゃらに己の信じる道のために立ち上がった者たちによって。
時に奴らが君に向かってこう言うさ。「たのむ,力をかしてくれ。」
そんなとき,君の仕事はただ1つ。真実の川の堤の上で,あの木のようにどっしり構え,奴らにこう言ってやるのさ。
「よせ,お前が蒔いた種だ。」
翻訳者N
メディアの報道など知ったことか。
己の利得しか追い求めぬ政治家や,扇動された群衆の言うこともどうでもよい。
まして,この国全体が黒を白だと判断を下しても,俺たちには関係ない。
俺たちの祖国は,あるひとつの信念の上に建国された。「たとえ追いつめられようと,結果がどうなろうと,己の信じるものを守れ」という信念だ。
群れるだけの連中や,メディア,そして全世界が君の理想を否定し,自分たちに従うよう命令してきたとしよう。君のなすべきことはただひとつだ。真実の川のほとりにそびえる木の如く根を張り,己の信念のもと,こう言ってやれ。
「断る。お前が俺に従え。」
翻訳者H
報道機関が言うことなんて放っておけ。国をうごかすやつらや物見高いやつらの言うことに耳をかすな。母国がそうだと決めたからって,それが本当に真実なのか。
この国は国民のもつ,ある際立った信条によって支えられているのだ。
それはつまり,後からついてくるものになど目もくれず,自分の信じて疑わないものをつらぬくことの必要性だ。
やつらはお前に言うだろう。「お前は邪魔だ」と。だが,お前がなすべきことは,自分の信条を胸に抱き,そこから一歩もしりぞかないことなのだ。そしてやつらにこう言ってやれ。
「邪魔をするな,そこをどけ。」
翻訳者O
マスコミも,政治家も,下々(しもじも)の奴らも全部無視だ。
たとえ国中が黒を白だと言い張ったところで,無視すりゃいい。
この世で大切なのは,結果を恐れず,己(おのれ)の信念を貫くことだけだ。
もし世界中の奴らから「動け」って指図されても,真実の川のほとりに立つ木よろしく,その場を動かないことだ。逆に世界に言ってやれ,「動くのはお前の方だ」と。
翻訳者Y
マスコミが何を言おうとも、表や裏の権力者が何を言おうとも、そんなことは関係ない。
たとえ、すべての世論が虚偽を正しいと信じこんでいても、そんなことは関係ない。
アメリカがアメリカであるのは、他でもない、たった一つの筋が通っているからだ。
どんな困難や結果にぶつかろうとも、自分が信じていることのために立ち上がる。これだけだ。
裏社会の権力者とマスコミが、いや全世界が、「お前、どけ」と言おうとも、お前は筋を通せ。
真実の川のほとりに立つ木のようにまっすぐ立て。そして全世界に対して言い放て。
「断る。お前らこそ、どけ」と。
(2)ふたつ目は,米作家J. D. Salingerの小説The Catcher in the Ryeのタイトルの翻訳です。
O『麦畑で追っかけっこ』
K『もし僕がライ麦畑で捕まえたなら』
T『たった一人のお兄さん』
M『ライ麦畑の保安官』
N『ライ麦畑の子守番人―子どもたちを見守って』
H『若きライ麦』
Y『ライ麦畑で君を守る』
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