2016/05/26

学部4年生のK君によるスピーチとディスカッションに関する振り返り

学部4年生用のある授業では、英語のグローバル化についての英語文献を読んでいますが、その文献で理解した内容やそこから各自で育んだ思考は、授業中のスピーチやディスカッションで表現し、さらにその表現について振り返り、教採はおろか社会のさまざまな場面でも活きるコミュニケーション能力を育成しようとしています。


以下は、その授業に参加しているK君が授業用の電子掲示板 (Bb9) に書いてくれた振り返り内容です。本人の許可を得てここに掲載します。


広大教英では、分析的にコミュニケーション能力を高めようとしています。












今回の授業で学んだことをスピーチとディスカッションの2つに分けて述べようと思います。


まず、スピーチについて大きく分けて3つのことを学びました。


1つは、推敲をしているつもりできちんとできていないということです。授業中にご指摘いただいたように、スピーチの中で本当に伝えたい部分ではないところに具体例を入れていました。確かに、自分の語ることに責任を持つためには、話の説得性を持たせるための具体が必要です。しかし、書き言葉とは違い、話し言葉は流動的であり、意図がはっきりしていないのにわざわざ余計な具体を入れ込むことは話の一貫性を損なう危険性があるということに気付きました。では、こうならないための対策としては、自分の書いたことを声に出すことだと考えます。スピーチを実際に行ってみることで、不自然な点に気が付くことができます。今後もこの点には特に気を付けたいです。


次に、論理の飛躍、一貫性のない文章構成が生じる理由について考えました。その原因の1つに、言葉の意味を理解したつもりでいることが挙げられると感じています。私自身もこれまでのスピーチにおいて、聞こえのいい言葉をつらつらと並べたことがあります。しかし、実際に「その言葉はどのような意味なの?」と尋ねられたときに、答えることができない事態が多々ありました。「聞こえのいい言葉」、これには注意しておかなければならないと感じています。「じゃあ一体それは何なのか、また具体的にはどのような説明をすることができるのか」、考えていかなければなりません。考えて自分の頭の中から出てくるような言葉であれば、尋ねられた時には即座に答えることができるはずです。自分で考えてもわからないような言葉を、説明していくには外から学ばなければなりません。今頃になってやっと、無知であることの恥ずかしさを実感おり、学び続けなければならないと実感しています。


そして3つめには、自らに対して批判的に考える力の大切さです。この言葉は今回の講義の中で最も印象に残っています。スピーチにせよ、対話にせよ、話し手は無意識のうちに自分の持っている考えを信じて疑わないようになってしまうのかもしれないと感じました。実際に、私がスピーチを練っているときには1つの考えが頭に浮かんだら、ほかの考え方には目もくれずに文章を作っていました。しかし、いつの事柄に対しても答えや考え方は1つではないはずです。一度頭に考えが浮かんだならば、ひとまずそこから離れて客観的に、多角的な面からその事柄について考えていかなければならないと思いました。英語教育の目的の1つに、この自らに批判的に考えていくこと、そこから多様な価値観を受け入れていく態度を育成していくことが含まれるのではないかと思います。



ディスカッションについては関係づくりの大切さについて学ぶことができたと思っています。今回の私たち前半グループのディスカッションでは、話の流れを意識するあまり無意識のうちにみんなの顔がこわばっていたように思います。限られた時間で話をそらしてしまわないように努めようとしすぎたばかりに、互いがうまくコミュニケーションをとることができなかったのではないでしょうか。一方、後半のグループでは明るく話し合い、どのような意見でも受容しうる雰囲気が流れており、その流れの中での意見のつながりを感じることができました。漠然とした言い方になるかもしれませんが、人間は自分を受け入れてくれる環境にはより溶け込みやすいのではないでしょうか。


では、互いに受け入れあう関係を築くにはどうすればいいのかを考えたときに、授業でもあったように共感的な人間関係を作る努力、またそうすることができるように心の余裕を持つことが肝要だと感じています。今は自分のよく知っている仲間とディスカッションをしているので、比較的受容し合いやすい環境であると思います。しかし、私たちが対話をする場面にこのようなものは多くないと思います。ですので、なおさら「場の作り方」を意識していきたいと思います。







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