昨日、卒業式・修了式を行いました。以下は、築道和明先生がなさった挨拶です。管理人も聞いていていいお話だと思いましたので、無理を言って築道先生にご寄稿願いました。
当日のご挨拶は原稿を読み上げる形ではなく、即興の話題なども入れられながらお話されたものでした。ですから、下の文章は挨拶の元原稿であり、当日の挨拶の書き起こしではないことを予めお断りしておきます。
卒業生・修了生が、教師・研究者あるいはそれ以外の職業で、人間の幸福のために貢献してくれることを祈っています。
そのためにも卒業生・修了生の皆さんは、まずは自分の健康を大切にしてくださいね。
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卒業,修了,学位の取得,おめでとうございます。
先日,卒業生の結婚式に伺いました。教英22生同士の結婚です。3年しか経過していないのですが,それぞれに色々な変化,変容があるようです。外見が変化して恰幅よくなった人,結婚して赤ん坊を抱いて出席している人,卒業時は講師として勤務し,晴れて正採用となり,正採用になってみたら,同じ高校で職員室の席も隣同士という人たち,民間企業に就職し転職を決意し,新たなスタートを切った人,本当にそれぞれに大きな変化や小さな変化があるようで,話に花を咲かせる楽しいひと時でした。
そのような中で,小学校,中学校,高校に勤務している人たちが異口同音に述べた内容は,
「先生,英語学習や英語の授業以前の問題に悩んでいます」という点でした。教室に入らない,教室にいても動き回る,私語をする,指示が伝わらない,こうした学習者の行動にどう対応すべきか悩んでいるということでした。
グローバル化を目指し,英語教育はさらに改革を進めることを求められています。しかし,
皆さんに心に留めておいてほしいことは,高度な英語教育が実践される一方には,多数の英語学習につまずく学習者が存在するという事実です。あるいは,そもそも学びそのものに心が向かわない学習者の存在です。
たとえば,やる気がないと一見思われる学習者,単語の綴りがなかなか覚えられない学習者,ペアやグループ活動に参加しようとしない学習者が目の前にいたら,本人のやる気の問題だといった結論を簡単に導かず,認知特性なども踏まえて考えられるいくつかの要因が存在するだろうという発想を持つこと,原因の特定化にはすぐには結びつかないまでも,複数の要因が影響しているのではないか,それらは何かを「想像する」力を持ってほしいと思います。同時に,広島大学の教英で学んだ英語教育学をさらに学び続けて,研究の中に英語学習や学習へのつまずきを探るヒントがないかを追い求める「研究的な姿勢」も持ち続けてほしいと願っています。
偉そうなことを言っていますが,これらの点は私自身の深い反省に基づいています。 1995年当時,まだ第一,第三土曜日は学校がありました。その頃のエピソードです。土曜日に英語の先生が中学1年生に英語で面接をしておりました。質問の一つが “What
day is it today?” しかし,その生徒はなかなか答えられない。やがて ‘S’という音を発しました。先生がヒントに ‘Sa?’と示す。それでも答えられない。何度かのやり取りがなされた最後に “Sawaday.”と答えました。当時,録音されたこのやり取りを聞いて,私には考えられる原因がなかなか浮かびませんでした。むしろ,ジョークで言っているのかと担当の先生と笑ってしまったのです。今なら,特別な支援等も含めて異なった見方をしていると思います。
「想像力を豊かにすること」と「英語教育や認知的な発達等,関連分野における研究を追い続けること」,この二点を是非皆さんにも期待します。
本日は卒業,修了,おめでとうございました。
今年度卒業・修了の築道ゼミの皆さん
(その他の写真は現在整理中ですので、しばらくお待ちください)。
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