2018/01/23

教英卒業生(平成15年度入学)の江澤隆輔先生が『中学校英語サポートBOOKSテーマ別英作文 ドリル&ワーク』(明治図書出版)を刊行します!


教英卒業生(平成15年度入学)で、現在は福井県の小学校に勤務する江澤隆輔先生がこのたび明治図書出版様から『中学校英語サポートBOOKSテーマ別英作文 ドリル&ワーク』を刊行します。また、さらなる書籍も準備中とか・・・

現役教員として働きながら書籍を刊行することは並大抵のことではありません。そんな大変な活躍をしている卒業生がいることを、教英所属教員としてはとても誇りに思います。(というより見習わなくては・・・汗)

以下はこちらでお願いして、江澤先生に寄稿してもらった文章です。ぜひお読みください!





自己紹介と近況報告

初めまして。教英15(柳瀬先生のゼミでした)の江澤隆輔と申します。自分が学部生の時にはこういったブログがなかったので,その存在を知って驚いています。このたび,明治図書出版様から「中学校英語サポートBOOKSテーマ別英作文 ドリル&ワーク」を126日に発刊させていただきます。この場をお借りして,そのご連絡をさせていただこうと思います。

私は,教英を卒業後,地元の福井県で採用していただき,現在3校目の学校に勤務しております(採用11年目)。初任校は福井市の中学校,2校目はその隣の市の中学校,そして現在は地元の市の小学校勤務で,来年度からの小学校教科化(福井県は先行実施)に向けて,その準備などをしております。もちろん,担任を持たせていただき,6年生と毎日あわただしくも充実した日々を過ごしています。


書籍出版の経緯

さて,2校目の中学校で英語教師として勤務していたときに,以下「はじめに」のようなことを感じて,英作文に特化した問題集である「英作文問題集」を英語科の取り組みとして独自に作成しました。初年度は3年生に配付,次年度以降は1・2年生に問題集を配付,毎週末の家庭学習として指導を続け,実践を開始した3年後には外部検定試験GTECライティング部門で県内トップクラスの成績を取ることができました。その取り組みをベネッセから取材していただいたことで,明治図書出版様から声をかけていただきました。
また,本書とは別に学事出版様からもお声かけをいただき,2月末には「中学英語ラクイチ授業プラン」を発刊予定です。その書籍や3冊目,4冊目の執筆中の本もありますが,それについてはまた別の形でご報告させていただこうと思います。







はじめに(本書より一部抜粋)


■ライティングの量が圧倒的に足りない!
 中学校で英語を指導していて,私が常々感じていたことがあります。それは,「生徒たちがまとまった英語の文章を書く機会が少なすぎる」ということです。それまでの私は,教科書の読み取りや文法指導に時間を取りすぎていて,生徒の自由な発想で英語の文章を書かせる時間が取れていませんでした。中間テストや期末テスト,高校入試には必ず英作文に関する問題が出題される(しかも,高配点!)にも関わらず,テストの前に1時間,場当たり的に英作文を指導するのがそれまでの私の授業運営でした(今,思い出すだけでも大変恥ずかしい…)。野球に例えるなら,選手は打席に立ってヒットやホームランを打つことが仕事なのに,本番さながらに打席に立たせて練習(実際に英作文)させず,素振り(教科書の内容理解や文法指導)ばっかり練習させていたのです。

その結果,高校入試の問題で英作文が出題されても,3文程度しか書けない生徒が数多くいました。彼らは,英語が苦手・嫌いだから「書かなかった」わけではなく,英語が好き・嫌いに関係なく,3年間,「数をこなしてこなかった」だけだったのです。

■英作文問題集の誕生
 そんな状況の中で生まれたのが,本書の元になっている「英作文問題集」です。普段はなかなかできない英作文指導を体系化し,「書けば書くほど上手になる」ということを何度も生徒に指導しながら,家庭学習に英作文学習を取り入れました。当時の英語科の先生方で相談し,3年間を見越した指導をするために,独自で英作文に特化した問題集を作ったのです。

問題集内には「どの日にどの英作文トピックに取り組むか」に加えて,「県立入試や私立入試の過去問題一覧」「語順一覧表」「論理的な英作文の書き方」「先輩の英作文作品」などを収録し,3年生専用の英作文問題集は100ページを超えました。その英作文問題集を使用し始めた生徒たちは,1つのトピックに対して,最初は3文程度しか書けなかったものの,徐々に書ける文が増えていき,1年の後半には,10文以上を英作文することができるようになりました。1週間で1トピック10文以上を目標として,何度も添削を受けながら,一部の生徒は次第に高い英語力をつけていくことができたのです。
*本書では1つのトピックに12文を目標に提案させてもらっております。

■悪戦苦闘する生徒と教師
 独自の英作文問題集で生徒が英語力をつけていったといっても,それは学力上位グループ。与えられたトピックについてどんどん英作文を書き,力をつけていく学力上位グループを尻目に,英語が苦手な生徒はなかなかライティングの力がつきませんでした。

特に,日本語をそのままの語順で英語に直してしまう(例「私はとてもテニスが好きです」→“I very tennis like.”)生徒たちを正しく英作文できるようにさせる指導は骨が折れました。生徒が書いてきた英文を添削し書き直しをさせても,また間違えた語順で英文を書いてくる生徒。品詞の知識がなく,1文中にいくつも動詞を書き入れてしまう生徒。そもそも家庭学習の習慣がなく,落ち着いて家で英作文に向き合わない生徒。様々なタイプの生徒がいましたが,あるときはALTの先生と一緒に添削したり,あるときはわざと間違えている英文を提示しながら生徒と一緒に間違いを探したりして,どんどん打席に立たせることを意識しつつ英語科全員で指導していきました。

結果として,何度も多くの英作文を書きながらゆっくりと力をつけることができました。また,3年間英作文の指導を受けた生徒たちは,前述の通り卒業前の秋の外部検定試験のライティング部門で,群を抜いた結果を出してくれました(「ベネッセ教育総合研究所 VIEW21 2017 英語4技能育成特集号」で取り上げて頂きました)。

■著者の願い
 中学生に英作文を指導していく上で感じたのが,努力を重ねて一旦力をつけてしまえば,なかなかライティング力は落ちないということです。そこで,最初のうちは3語程度の簡単な英作文でいいので,とにかくたくさんの英文を書き,徐々に力をつけていくことをイメージしながら本書を執筆しました。数を書かせることを意識して,最終的には12文の英文を書き切ることを本書は目標としています。また,10年間,毎年すべての学年を担当して指導(私の勤務する県は基本的に「縦持ち」で,すべての学年をそれぞれ1~2クラス程度担当)してきたことで,トピック(お題)を与えただけでは書けない生徒が多数いると身を持って実感しております。

 そこで,本書では該当トピックに関するドリル問題を多数作成しました。それらの問題を利用しながら,ぜひ生徒のライティング力を上げてほしいと願っています。もちろん,ここまでしても生徒によっては力がつかないかもしれません。特に,上記のような英語の語順がばらばらな生徒の指導は本当に骨が折れ,私も何度も何度も書かせてノートを突き返し,励ましながら添削してきました。

毎年100名以上の英作文を担当してきたからこそ,英作文を指導する先生方の苦労は分かります。だからこそ,生徒に寄り添い,生徒の理解と上達を信じて時間と手間をかけて指導する必要があり,本書がその手立てになることができれば,それほど幸せなことはありません。



教員という職業は、本当に毎日慌ただしく、自分をブラッシュアップするための時間を取ることすら難しいのが現状です。これはどの職業に就いても言えることだと思います。さらに、家庭を持つと、自分のために使える時間はほとんどなくなると言えます(ちなみに、妻も教英です。16でした)。現在の皆さんのように、自分の課題を発見できたり、学びたいときにいくらでも学べたりするという環境は本当に恵まれているのです。さらに、皆様の周りには親身になって教えてくださる先生方や、刺激し合える仲間がいます。ぜひ、その環境が恵まれたものであるということを忘れずに、毎日自分を高めてください。長文、失礼しました。




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