先日、教英の恒例行事である教職セミナーを開催しました。これは、新人とベテランの現職の中高英語教員の先生に来ていただき、現場の様子や日本の英語教育政策の今とこれからについて、教英生にお話いただくという企画です。今回は学部1年生から大学院生まで、現役教英生が参加し、貴重なお話を聞くことができました。福間翔也先生(広島県立世羅高等学校・教諭)、山本竜也先生(広島市立東原中学校・教諭)、贄田悠先生(文部科学省国立教育政策研究所・学力調査官)に貴重なお話をしていただきました。
まず、本企画を今年度コーディネートしていただいた広島大学名誉教授の松浦伸和先生に、教英の歴史も交えながら、今回の企画の趣旨とその導入をしていただきました。
福間先生には、「未来の先生へ:教員採用試験のリアルと現場での学び」という題目でお話いただきました。福間先生はこの4月に教英を卒業したばかりの1年目の先生です。現役教英生とも顔なじみです。今回のお話にあたって、教英の同学年にアンケートを取っていただいており、先輩からのメッセージとしてお話いただきました。教員採用試験対策をいつ頃からどのように行ったのか、実際の試験はどのような感じだったのか、教壇に立つまでにしておくべきこと、などについてお話いただきました。また、新人教師の実際の1日のスケジュールや、今年の夏休みのスケジュール、日々の仕事についても教えてくださいました。生徒が理解できる英語を話す力、ICT運用能力、教科内外の専門性、多様な生徒への対応などは4月からいきなり必要になることなので、できることから準備をしておくことが大切であるというメッセージをいただきました。また、実際に教員として働く上での便利グッズの一覧表もいただきました。現役教英生にとってとても具体的で教職の具体的なビジョンを持つことができたのではないでしょうか。福間先生と同期の教英卒業生も駆けつけてくれました。みなさん立派に楽しみながら英語教師をしており、とてもうれしかったです。
続いて、この4月に教英大学院を修了された山本先生に「中学校における英語授業"授業における実践"」という題目でご登壇いただきました。山本先生は現職の教員をしながら大学院へ2年間通われました。山本先生からは、ベテラン教員という立場から、日々の授業実践を4技能別にご紹介いただきました。また、特に山本先生が大学院で研究された話すこと(やり取り)の指導と評価について詳しくお話いただき、先生のご研究の知見を活用されている様子も知ることができました。まさに理論と実践を融合された素晴らしい取り組みでした。さらに、主体的に学習に取り組む態度の評価の実践例、合唱指導を通した学級経営の実践例、もご紹介いただきました。生徒の実際の様子やエピソードも多くご紹介いただき、教英生が教員になった後にどのように教師として成長していくのか、そのビジョンを見せていただきました。また、教員の仕事は生徒に学力をつけることであり、そのために授業準備や授業のルールづくり、指導の効果の検証、生徒や同僚とのコミュニケーションをしっかり行うことの大切さをメッセージとしてお伝えくださいました。また、授業に便利なツールや教材もご紹介いただきました。
続いて、質疑応答の時間をもうけさせてもらい、福間先生と山本先生に現役教英生からの質問に答えていただきました。宿題の出し方、ICTを使った授業時の生徒の内職への対応、小学校英語教育の影響、生徒間に学力差があるクラスでの授業の工夫、などについて質問があり、実際にどのように対応しているのかお話しいただきました。どれも教員を目指す学生ならばとても気になるトピックですが、なかなか現職の教員には聞く機会がありません。大変有益な質疑応答の時間でした。
休憩をはさみまして、最後に贄田先生に、「外国語教育で大切にしたいこと~英語教師に求められる資質・能力~」という題目でお話いただきました。特に、AI時代の英語教育において必要なことは何か、という問いを中心に、お話いただきました。贄田先生は、文部科学省学力調査官というお立場から、言語活動と言語材料について理解や練習のための指導の区別の必要性(そして言語活動をまずやってみて生徒の課題を把握し、課題への支援をした後で再度言語活動に取り組ませるというサイクルの大切さ)、言語活動における目的・場面・状況の設定の大切さ(思考・判断・表現が働き、聞き方、読み方、話し方、書き方が変わることに加えて、主体的に学ぶ意欲を高めること)、内容面の指導(コミュニケーションの目的と照らして、「何を」「どのように」伝えればよいかを指導)と言語面の指導(より正確に、誤解がないように伝えるための指導)の重要性、知識・技能と思考・判断・表現で4技能に関して具体的に育成すべき資質・能力の具体的内容、全国学力・学習状況調査の結果から見えてくるこれからの課題、について、ご講演いただきました。また、最後に、AI時代の英語教育では、「目的や場面、状況等に応じたコミュニケーション」を図る資質・能力を生徒に身に着けさせることが重要なミッションとなることを伝えていただきました。一方で、授業マネジメント力や子供を生かす力はAI時代以前と変わらず、その大切さを忘れないようにしなければならないという点も教英生へのメッセージとして伝えていただきました。時代が変わっても、教師は、生徒の既習内容の確認、生徒の意図の把握、生徒の関心にあった題材の設定、学習集団作り、生徒の存在感・共感的な関係・自己決定の場を大切にすること、生徒とやりとりをしながら授業をデザインすること、生徒とともに授業を作っていくこと、の重要性は忘れてはならないというお話でした。
3名の先生方のお話はこの記事には書ききれないほど本当に盛りだくさんの内容で、教英生は本当に多くのことを学ばせていただきました。貴重なお話を本当にありがとうございました。
教英ではこれから以下の入試関連行事があります。教英で一緒に英語教師を目指してみませんか。教員採用試験に向けたサポート体制も整っていますし、教英生(そして時には他コースの学生も含めて)で一緒に学ぶ雰囲気もしっかりと確立されています。実際に、福間先生の本日のお話でも、教英生で模擬授業をやったり面接の練習をしたりことが採用試験合格につながったとご紹介いただきました。スタッフ、学生一同、みなさんと一緒に教英で学べることを楽しみにしています!
2月:前期日程入試(学部入試)
2月:大学院入試(博士課程前期・後期)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。