教英の学生の皆様,教職員の皆様,ありがとうございました
2020年3月末をもって広島大学大学院教育学研究科を定年退職することになりました。2011年の4月に配置替えによって,外国語教育研究センターから教育学研究科へと移りました。わずか9年間という短い期間でしたが,多くの意欲ある学生の皆さんと出会い,また,熱心に研究・教育にあたっておられる先生方と共に働くことができました。講座事務の大石由美子さんにも色々助けていただきました。あっという間の9年でしたが,大変有意義に過ごすことができました。自身が卒業・修了した母校でもありますので,その分思い入れも強かったかも知れません。
さて,教英を去るにあたり,二つのことをお伝えします。
一つは,どのような組織であれ,人の上に立つ際に留意していただきたい点です。これは,私自身が過去に何度か小さな組織の長になった経験に基づいています。第一に「孤独に耐えうる精神力」です。大小様々な決定を日常的に求められる立場に立つ覚悟とそうした決定に対する責任を担うという姿勢です。第二に,組織内外からの批判,(理不尽なものも含めての)非難にまずは耳を傾けるということです。逆ギレや,即座の反論は何も創造的な営みを生みません。まずは,聴く,そこから次の一手を考えるということです。
二つ目は,癌患者やその家族の心理相談にあたってこられている清水研先生のご著書(『もしも一年後,この世にいないとしたら』(文響社)から学んだメッセージ,「mustよりwant」を生きる柱にするということです。周囲から求められる期待であったり,要求に応えなければならないと義務感に基づく行動が ‘must’であるなら,もちろんそうした要請を考慮に入れた上で,自身の心の声を聴き,それに従う ‘want’に基づく日々を送ることも必要ではないかと年を取るにつれて思うようになりました。教員というのは,ある意味「良い人」を周囲からも求められます。その「良い人」像に自身の声を押しつぶしてまで従うと息苦しくなってくるのかも知れません。かと言って,好き放題に生きようと唱えているのではありません。あくまで社会の規範などに従った範囲の中で,自分は何のために生きているのかを問い,その声に時には従うことも大切ではないかと思うのです。
最後に,教英の今後がさらに発展・充実し,卒業生・修了生をはじめ,未来の教英の入学生の幸せを祈って,Bon Voyage!
築道 和明
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