2025/11/17

教英教職セミナーを開催しました!

教英の毎年恒例の行事である、英語教職セミナーを開催しました。今年度は、2名の教英出身の先生と、文科省より講師をお招きし、現在の英語教育についてお話をしていただきました。コーディネーターは、松浦伸和先生にお願いしました。

 

まず、今年の3月に教英を卒業されたばかりの久保彩音先生(堺市立陵西中学校教諭)より、「教職の道を歩むあなたへ 〜試験から現場へ、学び続ける教師として〜」というタイトルでお話いただきました。教員採用試験に向けてどのように準備をしたのか、一日の生活スケジュール、研修の内容について情報を提供いただきました。そして、実際の日々の授業の様子を示してもらいながら、教材研究や受業準備をどのように行っているのかということについて具体的にお話いただきました。生徒の反応や発言を大切にしながら授業をすることを大切にされているとのことで、大学で学んだことを目の前の生徒やクラスに応じて調整していくことの難しさと面白さを日々経験されているとのことでした。また、ご自身も学び続けることを大切にされており、学び続けることで生徒も教師自身もさらなる成長をすることができるというメッセージをいただきました。

 


次に、中堅の教員として、森﨑将彦先生(大分県立上野丘高校教諭)に、「高等学校における英語授業実践教えること・学ぶこと・生きること」というタイトルでお話をいただきました。森﨑先生は、「研究」的な視点を持って日々の授業に取り組まれているまさにresearcher-teacherです。本日は、目の前の生徒の「読むこと」に関する能力の実態把握をした実践、スピーキングでも特にやり取りに関する能力の実態把握をした実践、やり取りの中でも合意形成をできる生徒を育成することを目指した指導実践、について具体的にご紹介いただきました。また、森﨑先生が授業をデザインする上で大切にされている点として、①学習指導要領をしっかりと理解した上でそれに準拠した授業にすること、②教科書はあくまでも入り口であり、それを素材として授業を展開すること(教科書「を」教えるということに終始しないようにする)、③探求的な学びの場とすること、④教師自身の思った通りの行動を生徒がすることに頼った授業になっていないか注意すること、を説明いただきました。最後に、英語教師として何歳ぐらいでどうなっていたいのか、そのキャリアに関する見通しを大学生の頃から持っておくことが大切であるというメッセージをいただきました。

 


続いて、教英生からの質問時間になりました。休日の過ごし方、生徒との距離感の保ち方などについての質問に対して、実際のところどうなのか、その実情を教えてもらいました。

 


最後に、佐藤大樹先生(文部科学省国立教育政策研究所学力調査官)に、「今、英語教師に求められる資質・能力」というタイトルでご講演をいただきました。全国学力・学習状況踏査の結果の要点を説明いただき、現在の中学生は英語に関してどのような考えを持っているのかその傾向を解説いただきました。そして、今、英語教師に求められる資質・能力として、①生徒の学習意欲を高めること、②「育成を目指す資質・能力」とは何かを理解すること、③「育成を目指す資質・能力」を高める授業を行うこと、という3項目に分けてお話いただきました。また、その中で、「コミュニケーションを図る資質・能力」、「外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方」、「コミュニケーションを行う目的や場面」、「言語活動」、など、学習指導要領の目標に出てくるキーワードがそれぞれ何を指すのか分かりやすく解説いただき、特に「読むこと」の言語活動を例として、これらのキーワードを踏まえた授業はどのようにデザインすればよいのか、その具体例をお示しいただきました。また、最後に実際に授業をデザインする上で有用な、国立教育政策研究所が提供しているリソースを紹介いただきました。学習指導要領をしっかり読み込むことの大切さに改めて気づかせていただいたと同時に(学習指導要領をしっかりと理解し、それに基づいて授業設計をして初めて、現代的な英語力を生徒に身に付けさせる授業がデザインできます)、生徒自身が力がついたと実感できる授業行うことの大切さのご指摘も強く印象に残りました。生徒は「学習意欲が高いから英語学習に取り組む」というよりも、むしろ「英語の学力が高まることで学習意欲が高まる」という傾向が強いということを教師自身が忘れてはいけないと思いました。

 




今年度も大変有意義な時間となりました。登壇いただいた3名の先生方、誠にありがとうございました。教職の面白さを教英生はあらためて感じ取ってくれたのではないかと思います。

 

教英ではこれから以下の入試関連行事があります。教英で英語教師や英語教育研究者を目指してみませんか。スタッフ一同みなさんと一緒に勉強や研究ができるのを楽しみにしています!

 

2月:学部前期日程入試

2月:大学院入試(博士課程前期・後期)

 

2025/11/01

英語教育の最先端を知るオンラインセミナー「いち英語教師としてどう英語に向き合っているか―言語学・英語学・SLAから「what to teach」を問い直す―」は大盛況のうちに終了いたしました!

本日、英語教育の最先端を知るオンラインセミナー「いち英語教師としてどう英語に向き合っているか―言語学・英語学・SLAから「what to teach」を問い直す」を開催しました。全国から150名近くの方にお申込みいただきました。おかげさまで今年も大盛況となりました。教職を目指す高校生から現職の中高大の先生、一般の方まで広くご参加いただきました。

 

講師を務めていただいた石原健志先生には、英語学、言語学、第二言語習得論の理論に基づくことで、教材や英文、そして教え方が大きく変わってくるということを実例をもとに具体的にお話いただきました。特に、授業で扱う英文には、文法の構造(英語学)、文化や思想の背景(言語学)、学習の段階(第二言語習得論)のすべての要素が隠れており、教師はこれらの基礎理論を学ぶことで教科書を指導用の素材として見ることができるというご指摘は強く印象に残りました。ご講演では、受動態やto不定詞の文を例に、学校で生徒が学習する様々な構文はコミュニケーションの中でそれぞれどういったことを表現するためのものであるのか、このことを理論に基づきながら生徒に提示するとどのような説明になるのか、を具体的にご紹介いただきました。その説明は、文法説明のための説明というものではなく、なぜその文法を使うのか、そこにはどのような狙いや効果があるのか、ということを生徒にわかりやすく気づきを与えるもので、参加者の皆さんも多くの学びを得ることができたことと思います。

 

英語教育はついつい指導法にばかり目が行ってしまい、その指導内容について(特にそれが文法事項などの場合にはなおさら)考え直すことは少なくなってしまう傾向があるように思います。授業で取り上げる文法事項についてありきたりな説明で簡単に済ませてしまいがちです。石原先生の本日のお話は、むしろその指導内容にしっかりと向き合いながら授業準備をすることで、その指導も大きく変わってくるということを示していただきました。指導内容、特に英語そのものに向き合うことの大切さを思い出させてくださいました。

 

石原先生、貴重なご講演をありがとうございました。また、本日参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。

 

教英ではこれから以下の入試関連行事があります。すでに締め切られましたが、11月には広島大学光り輝き入試(AO入試)(学部入試)があります。修士課程(博士課程前期)と博士課程(博士課程後期)の入学試験は2月に行われます。教英で一緒に英語教育について学びませんか。在学生、スタッフ一同みなさんと一緒に勉強できるのを楽しみにしています!

 

11月:広島大学光り輝き入試(AO入試)(締め切りました)

2月:前期日程入試(学部入試)

2月:大学院入試(博士課程前期・後期)

 



教英教職セミナーを開催しました!

教英の毎年恒例の行事である、英語教職セミナーを開催しました。今年度は、 2 名の教英出身の先生と、文科省より講師をお招きし、現在の英語教育についてお話をしていただきました。コーディネーターは、松浦伸和先生にお願いしました。   まず、今年の 3 月に教英を卒業されたばかり...